bellvillage bitter

1993年9月、アメリカであるドラマが放送を開始した。
やがてそのドラマは話題を呼び、アメリカ中の人々を震撼させた。
 
X-ファイル
 
本が出版され、ドラマの主人公が雑誌の表紙を飾り、やがてコミックも誕生する。
放送前はさして宣伝もしなかったドラマは、全米の人気を一気にさらった。

マニアが現れ、コンベンションが開かれる。
彼らはX-ファイルのTシャツを着て、キャラクターグッズを買い漁る。
単なるフィーバーだけでなく、作品としてのクオリティの高さから名誉ある賞も獲得した。
果たしてこのドラマの魅力とは。

X-ファイルその名の「X」には、我々の想像をはるかに超えた謎が隠されている。
UFO、超常現象、未知の生物、現代科学では解明できない謎の事件の数々が、この「X」の文字に込められているのだ。
間もなく、そのファイルの扉が開かれようとしている。
今日は一足早く、その謎と恐怖の世界を体験していただこう。

アメリカ連邦捜査局、FBI。
あらゆる犯罪分野のエキスパートが集まったアメリカ警察機構の頂点である。
しかし、このFBI本部の片隅に、その捜査力を駆使しても解決することのできない謎の事件を集めたファイルがあった。

FBIのトップシークレットであり、現代科学では解明できない未解決事件。
この想像もできない未知の世界に立ち向かう2人の捜査官がいた。

フォックスモルダー捜査官。
FBIの中でもエリートコースを歩み、将来を期待されていたが、ある日偶然、X-ファイルの存在を知り、その捜査にのめり込む。
あだ名はスプーキー。
変人。
このモルダーを演じたデイビッド・ドゥカブニー自身も名門エール大学を卒業し、教師を志したインテリ。

「僕はこの、完璧に孤立しているモルダーが好きなんだ。変人扱いされてるけどね」

スプーキーなモルダー捜査官の補佐としてX-ファイルに配属されてくるのがダナ・スカリー捜査官。
医学博士の資格を持ち、科学で解明できないことは決して認めない現実派である。
まさにモルダー捜査官とは正反対の性格。
スカリーを演じるのは、300人の応募者の中から選ばれた新人、ジリアン・アンダーソン。
失業保険が切れる日に合格の連絡を受けたという。

「私自身は、世の中に奇妙な出来事や超常現象が存在すると信じているの。でもスカリーは信じていない。このギャップが、演じていてとても面白かったわ」
 
ドラマの中では、超常現象を信じるモルダーと、科学的かつ論理的なことしか認めないスカリーという正反対の2人。
事あるごとに意見を戦わせながらも、事件の真相に迫っていく。

X-ファイルは実在する？

デイビッド：「X-ファイルはFBIが保管していると言われている。事件もだけど、実際にあるかどうかは定かじゃないんだ」

アメリカ犯罪捜査のトップに立つFBI。
世界有数の分析力を誇るこのFBIに、謎の事件を集めたX-ファイルが、本当に存在するのだろうか。
この真相を確かめるために、スタッフはロサンゼルスにあるFBI支局に問い合わせた。

やはり謎の事件を集めたファイルなど存在しないのか。
しかし、そこに貴重な証言をする人物が現れた。
ハワイに在住し、FBIに協力したこともあるというアメリカ国防省の捜査官。
彼は身分証を見せてくれはしたものの、あくまで匿名という条件で硬い口を開いた。

「この番組をご覧の皆さんに知っていただきたいことは、X-ファイルが存在するということです。X-ファイル以外にも、Y-ファイル、Z-ファイルが存在します。
でも、その内容は伏せられています。
私の知る限りでは、これらの未知なるファイルは、どれも未解決のまま放置されているのです」
 
やはり謎のファイルは存在するのかもしれない。
ドラマ「X-ファイル」は、まさしくその謎に迫るリアルな物語なのだ。
想像を絶する怪事件、信じがたい現象の数々。
それは我々の身近な生活の中にも潜んでいるかもしれない。
いったいその謎の事件の正体とは。
CMの後、いよいよX-ファイル事件の全貌に迫る。

「X-ファイル」事例１　UFO

「X-ファイル」事例1
UFO
 
数々の不可解な事件が登場するX-ファイルの中でも、中心的テーマとなっているのがUFOである。
まさにSF世界の代表的存在とも言えるUFO。
しかし、X-ファイルで扱う事件の全ては、実際に起こった現象を元に作られているのである。

未確認飛行物体、いわゆるUFOは世界各地に目撃報告がある。
有名なアダムスキー型UFO以降、様々な場所で様々な形態をしたUFOが写真や映像に収められてきた。
そして、実際にその存在を思わせる事件も発覚している。

中でも有名なのが、1947年に起きたロズウェル事件。

地元の新聞が墜落したUFOを軍が捕獲と一面に報じ、軍も否定しなかったことからアメリカ中が騒然。
ところがその翌日、軍は落ちたのはUFOではなく気球であるとあっさり発表を取り消し、まだこの事件の真相は明らかにされていない。

すでに50年近くの時が経過した今も、その事実究明にかける人物がいる。
ロサンゼルスのUFO博物館。

この博物館を作った館長のジョン・エリック・ベックヨード氏は、軍にロズウェル事件の情報公開を求める署名を募っている。
そして、この博物館を訪れるほとんどの人が署名をしてくれるという。
誰もが事件の真相を知りたがっているのだ。
 
「政府は膨大な資料を隠しているはずですよ」

このロズウェル事件を思わせるX-ファイルが。
「堕ちた天使」では、墜落した物体を軍が回収しているのをモルダーは目撃する。
ベックヨード館長もやはりX-ファイルの大ファン。
 
「このX-ファイルで描いていることは、政府が驚くぐらい正確でしょうね。だから、見ているものの目を開かせてくれるんですよ」

このほかにも、X-ファイルでは、広大な米軍基地の上空を謎の飛行物体が飛び交い、それを2人が目撃するというエピソードがある。

そして現実にも、ラスベガスの北西に位置するエリア51と呼ばれる地域に、使用目的が全く分からない巨大な基地が存在するという。
 
「この地域では、毎週月曜日から金曜日にかけて未確認飛行物体が目撃されているんです。空中で静止したり、時速10キロほどで移動することもあります。そして、山の向こうに消えていくんです。これは明らかに飛行機ではありませんね。時速10キロだと墜落しますから」

こうしたUFO現象について、科学者たちはどう考えているのか。
我々は、火の玉研究でも知られる早稲田大学の大槻教授を訪ねた。
すべてを科学的に解明しようとする教授から、なんと意外な答えが。

「まず、このX-ファイルは大変面白かったですね。本当にね、UFOの調査をやってるごくごく専門家しか知らないようなことまで克明に集めてましてね。X-ファイルの作家というのは、勉強家であると」
 
UFOの強い光を浴びて高熱の火傷を負うこのシーンも克明な調査ならでは。
 
「決して科学者はね、宇宙人がいることを否定してはいない。その証拠は何かというと、それは1つは、既に地球人がいるということで、地球人は紛れもなくこれは宇宙から見れば宇宙人ですから。それからもう1つはね、あの電波。宇宙人が更新していると思われる電波のですね、あの測定が今可能になってきましたね。宇宙からのあの人工的な電波と思われるシグナルをね、いくつかすでに捉えてるわけです」

そのシーンがこれである。
テレビの砂嵐の前に座った子供が、次々と意味不明な記号を紙に書いていく。
これは果たして宇宙から送られるシグナルなのだろうか。
謎に秘められた宇宙。X-ファイルは、その謎の扉を次々と開いていた。

「X-ファイル」事例２　超常現象

「X-ファイル」事例2
超常現象

ジリアン：「とても不思議な感じなんだけど、私たちが撮影していることと同じようなことが、同時進行のように現実でも起こっているの」

X-ファイルに登場する常識を超えた様々な怪現象、つまり超常現象もまた、現実に起こった事件と一致している。

例えば、何も力を加えていないのに物が飛び交い、人が舞うポルターガイスト現象。
実際にイギリスでポルターガイストは少女に乗り移り、姉妹の1人が宙に舞う瞬間が記録されている。

続いて「炎」の回で登場するのは人体発火。
全く火の気配がないところで突然人間の肉体が燃え上がり、完全燃焼してしまう現象。
これも世界各国で事例が報告されている。
遺体は炭化し、完全に消失して発見される。

「うん、人体自然発火っていう現象はこれはあります。半信半疑の人が多いですがね。あ、実際は人体自然発火という情報を足に集めてみますとね、これは自然に、やっぱり起こってると、寝てる間にとにかく靴だけが残ってるっていう事件があるんですから。だから、そういう意味ではX-ファイルのデータは正しいんです。私は、これもですね、あの極端な電磁現象の1つだと。ですから、ある日突然、寝てる時に、その体の付近でね、極めて強い高周波が現れるってことはあり得る」

「X-ファイル」事例３　サイキックパワー

「X-ファイル」事例3
サイキック・パワー
 
科学では解明できない力、超能力もX-ファイルのテーマの1つ。
そしてもちろん、これにも実在の人物がいる。

双子のジェイミソン姉妹は、アメリカのテレビショーでレギュラー番組を抱えるほど人気の高い超能力者である。
彼女たちはサイキックチャネラーと呼ばれ、自動筆記によって「向こう側の世界」と交信する能力を持つ。
OJシンプソンの死んだ奥さんとも交信し、話題を呼んだ。

「X-ファイルでしょ？　もちろん大好きよ。お気に入りの番組よね」
「うん。それに貴重な番組よ。あの番組は、 私たちが生きている世界だけが全てじゃないってこと、いろんな角度から教えてくれるでしょう。X-ファイルを通して新しい世界を意識するようになった人がずいぶん増えたと思うわ」
 
「海の彼方に」は、そのサイキックパワーの謎に迫るストーリー。
ある死刑囚が超能力を持っているという男は見たことのない場所の特徴を次々と告げる。
そして、その場所は確かに存在していた。
 
「このドラマを見ていてドキドキしたわ。だって、チャネリングがドラマの中心的なテーマになったのを見たのは初めてだったから。X-ファイルは未知というものへの限界に挑戦していると思うわ。とても真剣にね。これは真実を伝える大切な姿勢だと思うの。だって、政府は何かと隠したがるでしょう？」
 
単なるフィクションではない実在の事件が存在するだけに、恐怖も増す。
 
CMの後は、さらなる未知の恐怖に迫る。

「X-ファイル」　もうひとつの恐怖

X-ファイルの怪事件を捜査するモルダーとスカリー。
しかし、その捜査の行く手には、常に何者かの妨害が立ちはだかる。
一体彼らは誰なのか。
なぜ捜査の妨害をしなければならないのか。

ついにUFOの姿を目撃したモルダー。
しかしその直後、またも謎の男たちがモルダーを襲う。

「序章」でも、変死体の中から発見した唯一の手がかりであるチップらしき金属も、スカリーの手から上司に渡ると、なぜかそれはアメリカ国防総省の秘密倉庫の中へ運ばれ、保管されてしまう。
一体、事件の陰にちらつく国防総省とは何なのか。

アメリカ国防総省、通称ペンタゴン。
国全体の安全を守る機関である。
X-ファイルの中では謎の陰謀を持つ組織として描かれているが、国防総省としてはこのことをどうとらえているのか。

「国防省としては快く思っていません。ですが、機密事項とは、いずれ公表されるべきものなんです。例えば ケネディ暗殺に関する資料は、20年前なら機密扱いでしたが、近々公表される運命にあるわけですから」
 
もし実際にこうした機密事項が存在するならば、政府は力づくでもその事実を隠そうとするだろう。
このX-ファイルで描かれているように。
 
これは真実究明の熱いドラマでもあるのだ。
目の前で起こる謎、そして見えざる大きな敵に立ち向かい、X-ファイルの捜査は進む。

エンディング

X-ファイルの恐怖は間もなくあなたの前に現れる。
そして、あなたの身近な世界の恐怖を教えてくれるだろう。

「謎のX-ファイル　マル秘大情報！！」、いかがでしたでしょうか。
大槻教授にインタビューしてみたり、わざわざアメリカに取材に行ってサイキック・チャネラーに話を聞いたり、テレ朝の力の入れようがうかがえる特番だったと思います。
ただ、タイトルが幼稚なので、なんとかしてほしかった・・・